AT-1新富士駅店の社長ブログ
環境対応は産業競争力の中核に、野心的目標は日本の好機 [エコカー減税]
投稿日時:2009/06/10(水) 19:19
環境対応は産業競争力の中核に、野心的目標は日本の好機
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090610-00000920-reu-bus_all
6月10日19時19分配信 ロイター
6月10日、環境対応は産業競争力の中核となり、野心的目標は日本の好機になるとの声が。写真は富士山で1月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 10日 ロイター] 麻生太郎首相が10日、2020年に国内の温室効果ガスを2005年比で15%削減(1990年比8%減)することを目指す中期目標を表明した。
目標の検討過程で一部の利害関係者の主張がぶつかり合った光景とは対照的に、ビジネスの現場では低炭素社会に適合した製品やサービスをどれだけ生み出せるかが企業の競争力を左右するというパラダイム・シフトが着々と進んでいる。環境政策の位置付けが世界的に高まるにつれ、太陽光発電やハイブリッド車など環境分野に強みを持つ日本の産業界が、新たな成長を実現する好機になるとの見方が急速に広がっている。
<「グリーン・ニューディール」が成長けん引>
08年後半に世界で広がった経済危機に直撃された電機と自動車の国内基幹産業にとって、目下の「希望の星」は環境関連分野だ。足元の生産活動は在庫調整の進展で持ち直しているが、今後、日本の産業界が本格的な回復軌道に向かうかどうかは、温暖化対策を経済成長につなげる政策パッケージである「グリーン・ニューディール」を通じた需要拡大をうまく取り込めるかどうかがカギを握っている。
例えば太陽電池。05年度を最後に補助金が打ち切られ国内需要は伸び悩んでいたが、今年1月に補助金が復活した。業界団体の太陽光発電協会によると、09年1―3月期の太陽電池の国内出荷は前年同期に比べ約18%増加。太陽電池国内最大手、シャープ<6753.T>の片山幹雄社長は今月5日、ロイターなどのインタビューで、太陽電池が日本国内市場において「とんでもない勢いで伸びている」と語った。来年度には、太陽電池で発電した電気を電力会社に高値で買い取らせる制度も国内で導入される。片山社長は「昨年と比べると2倍近い引き合いが来ている。(今後も)加速されると思う」と強調した。
日立製作所<6501.T>は風力・太陽光発電などの新エネルギー事業を08年度の250億円程度から15年度に2000億円規模への拡大を目指す。日立の田中幸二常務は「電力インフラと情報・通信を融合させることで日立グループの強みを発揮する」などと述べ、ここ数年続いた業績低迷からの脱却のきっかけにしたいとの考えを示した。
太陽光や風力による発電は出力が天候に左右されるため、送配電網(系統)の安定運用に支障が出るとの懸念が従来からあった。その解決策として、情報通信技術を活用し、系統の状況をタイムリーに監視し最適に運用する「スマート・グリッド」と呼ばれるシステムが今、注目を集めている。米オバマ大統領が署名して2月に成立した7870億ドル(約77兆円)の景気対策法でも、この分野で大規模な支出が盛り込まれている。今後、世界各地で同様の需要が広がることは確実だ。
ハイブリッド車用などに需要拡大が期待される二次電池や太陽電池に強い三洋電機<6764.T>の買収を計画しているパナソニック<6752.T>の大坪文雄社長は、5月の会見で「最近のグリーン・ニューディール関連の世界各国の動きをみていると、2012年度に400億円とみた(買収)効果よりも、もっと大きなシナジーを生み出す可能性があると感じている」と力説した。
<ハイブリッドも本格普及に動き出す>
自動車分野でも環境シフトが鮮明になっている。国内の新車販売(軽自動車と輸入車除く)は4月にホンダ<7267.T>の「インサイト」(2月発売)がハイブリッド車として初めて首位に立つと、5月もトヨタ自動車<7203.T>のハイブリッド車「プリウス」(新旧合計)が1997年の発売以来初の1位になった。ホンダの近藤広一副社長は「21世紀に入って環境とエネルギー問題が注目され、その中で何をしなくてはいけないのか、自動車産業は突きつけられている。環境に対応した自動車をいかに安く大量に作るか、この技術をいち早く確立できたメーカーだけが生き残れる」と語る。
ハイブリッド車は車両価格が急激に下がり始めたほか、4月に始まったエコカー減税の後押しもあり、新車販売(輸入車と軽自動車を除く)に占める比率が3月の3%から4月には9%、5月には12%に急増している。
JPモルガン証券は、2020年にはこの比率が日本で18.8%、米国で19.4%、中国で13.0%、欧州で14.6%に達すると予想。同社の自動車アナリスト・中西孝樹氏は「ハイブリッドのマーケットは世界で最も伸びる市場」と指摘する。
<経済成長とCO2はデカップリングへ>
20年の温室ガス排出量を05年比15%減とする中期目標は、政府が示した削減案の6つの選択肢のうち同14%減とする「シナリオ3」に最も近い。中期目標の検討過程で政府は、温暖化対策を実施した場合の経済への影響に関する試算を示し、シナリオ3では、05年から20年までの間に実質国内総生産(GDP)を0.6%押し下げるとしたが、ほぼ無視してよい水準といえる。
一方、経済影響に関する同試算では、太陽電池やハイブリッド車など低炭素社会に適合したビジネスが広がることのプラス影響は十分に分析されなかった。環境省関係者は「世界はグリーン・グロース(緑の成長)に向けて動き出しているのに、国内では重厚長大産業を中心に、コスト増で足かせになるという議論ばかりが目立った」と、中期目標策定の議論を振り返る。
有識者が集まった今月2日の会合で「中期目標に向けて」と題した緊急メッセージが発表された。その際の会見で、京都大経済研究所の佐和隆光・特任教授は「(今後は)経済成長とCO2(二酸化炭素)排出、エネルギー消費量の関係はデカップリング(非連動)する」と指摘。その上で「日本では第3次産業の比率が高まり、製造業の中でも素材型産業の比率が低下することで経済がソフト化し、結果としてCO2の排出量が減るだろう」と語った。
(ロイター日本語ニュース、浜田健太郎、取材協力:久保信博、村井令二;編集 田巻 一彦)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090610-00000920-reu-bus_all
6月10日19時19分配信 ロイター
6月10日、環境対応は産業競争力の中核となり、野心的目標は日本の好機になるとの声が。写真は富士山で1月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 10日 ロイター] 麻生太郎首相が10日、2020年に国内の温室効果ガスを2005年比で15%削減(1990年比8%減)することを目指す中期目標を表明した。
目標の検討過程で一部の利害関係者の主張がぶつかり合った光景とは対照的に、ビジネスの現場では低炭素社会に適合した製品やサービスをどれだけ生み出せるかが企業の競争力を左右するというパラダイム・シフトが着々と進んでいる。環境政策の位置付けが世界的に高まるにつれ、太陽光発電やハイブリッド車など環境分野に強みを持つ日本の産業界が、新たな成長を実現する好機になるとの見方が急速に広がっている。
<「グリーン・ニューディール」が成長けん引>
08年後半に世界で広がった経済危機に直撃された電機と自動車の国内基幹産業にとって、目下の「希望の星」は環境関連分野だ。足元の生産活動は在庫調整の進展で持ち直しているが、今後、日本の産業界が本格的な回復軌道に向かうかどうかは、温暖化対策を経済成長につなげる政策パッケージである「グリーン・ニューディール」を通じた需要拡大をうまく取り込めるかどうかがカギを握っている。
例えば太陽電池。05年度を最後に補助金が打ち切られ国内需要は伸び悩んでいたが、今年1月に補助金が復活した。業界団体の太陽光発電協会によると、09年1―3月期の太陽電池の国内出荷は前年同期に比べ約18%増加。太陽電池国内最大手、シャープ<6753.T>の片山幹雄社長は今月5日、ロイターなどのインタビューで、太陽電池が日本国内市場において「とんでもない勢いで伸びている」と語った。来年度には、太陽電池で発電した電気を電力会社に高値で買い取らせる制度も国内で導入される。片山社長は「昨年と比べると2倍近い引き合いが来ている。(今後も)加速されると思う」と強調した。
日立製作所<6501.T>は風力・太陽光発電などの新エネルギー事業を08年度の250億円程度から15年度に2000億円規模への拡大を目指す。日立の田中幸二常務は「電力インフラと情報・通信を融合させることで日立グループの強みを発揮する」などと述べ、ここ数年続いた業績低迷からの脱却のきっかけにしたいとの考えを示した。
太陽光や風力による発電は出力が天候に左右されるため、送配電網(系統)の安定運用に支障が出るとの懸念が従来からあった。その解決策として、情報通信技術を活用し、系統の状況をタイムリーに監視し最適に運用する「スマート・グリッド」と呼ばれるシステムが今、注目を集めている。米オバマ大統領が署名して2月に成立した7870億ドル(約77兆円)の景気対策法でも、この分野で大規模な支出が盛り込まれている。今後、世界各地で同様の需要が広がることは確実だ。
ハイブリッド車用などに需要拡大が期待される二次電池や太陽電池に強い三洋電機<6764.T>の買収を計画しているパナソニック<6752.T>の大坪文雄社長は、5月の会見で「最近のグリーン・ニューディール関連の世界各国の動きをみていると、2012年度に400億円とみた(買収)効果よりも、もっと大きなシナジーを生み出す可能性があると感じている」と力説した。
<ハイブリッドも本格普及に動き出す>
自動車分野でも環境シフトが鮮明になっている。国内の新車販売(軽自動車と輸入車除く)は4月にホンダ<7267.T>の「インサイト」(2月発売)がハイブリッド車として初めて首位に立つと、5月もトヨタ自動車<7203.T>のハイブリッド車「プリウス」(新旧合計)が1997年の発売以来初の1位になった。ホンダの近藤広一副社長は「21世紀に入って環境とエネルギー問題が注目され、その中で何をしなくてはいけないのか、自動車産業は突きつけられている。環境に対応した自動車をいかに安く大量に作るか、この技術をいち早く確立できたメーカーだけが生き残れる」と語る。
ハイブリッド車は車両価格が急激に下がり始めたほか、4月に始まったエコカー減税の後押しもあり、新車販売(輸入車と軽自動車を除く)に占める比率が3月の3%から4月には9%、5月には12%に急増している。
JPモルガン証券は、2020年にはこの比率が日本で18.8%、米国で19.4%、中国で13.0%、欧州で14.6%に達すると予想。同社の自動車アナリスト・中西孝樹氏は「ハイブリッドのマーケットは世界で最も伸びる市場」と指摘する。
<経済成長とCO2はデカップリングへ>
20年の温室ガス排出量を05年比15%減とする中期目標は、政府が示した削減案の6つの選択肢のうち同14%減とする「シナリオ3」に最も近い。中期目標の検討過程で政府は、温暖化対策を実施した場合の経済への影響に関する試算を示し、シナリオ3では、05年から20年までの間に実質国内総生産(GDP)を0.6%押し下げるとしたが、ほぼ無視してよい水準といえる。
一方、経済影響に関する同試算では、太陽電池やハイブリッド車など低炭素社会に適合したビジネスが広がることのプラス影響は十分に分析されなかった。環境省関係者は「世界はグリーン・グロース(緑の成長)に向けて動き出しているのに、国内では重厚長大産業を中心に、コスト増で足かせになるという議論ばかりが目立った」と、中期目標策定の議論を振り返る。
有識者が集まった今月2日の会合で「中期目標に向けて」と題した緊急メッセージが発表された。その際の会見で、京都大経済研究所の佐和隆光・特任教授は「(今後は)経済成長とCO2(二酸化炭素)排出、エネルギー消費量の関係はデカップリング(非連動)する」と指摘。その上で「日本では第3次産業の比率が高まり、製造業の中でも素材型産業の比率が低下することで経済がソフト化し、結果としてCO2の排出量が減るだろう」と語った。
(ロイター日本語ニュース、浜田健太郎、取材協力:久保信博、村井令二;編集 田巻 一彦)
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